近年、一般用語として定着した感のある『エモい』という言葉が、私は好きではありません。
あまり使いたくない言葉です。
『エモい』のエモは、『エモーショナル』のエモ。
エモーショナル(emotional)の意味は、
エモーショナル【emotional】
( 形動 )
感情的なさま。情緒的なさま。
出典元:コトバンク
『エモい』の起源は音楽用語(ジャンル)からきているという説があります。
私も、最初『エモい』は音楽を語る時に使われていたイメージがありますね🤔
パンク・ロックの中の『エモーショナル・ハードコア』というジャンルが元になっているらしいのですが、詳しく書くと長くなるので割愛します。
ブロガー的には詳しく書かないといけないのだろうけど……、私が今回この記事で言いたいことはそこでないので😑
ウィキペディアに詳しく書いてあります。
『エモい』とは、感情(心)が動かされた状態のこと。
しかし、ただ単に『痛みに耐えてよく頑張った! 感動した!』という意味合いではなく、哀愁、情緒的、感傷的、物悲しさなど、少し切なくなる感じの時に使われる傾向があるみたいです。
昔、私のバンド仲間が『切なロック』なんて言葉を使ってましたが、今で言うと『切なロック=エモい』のかもしれません。
私のイメージだと9mm Parabellum Bulletとかフォーリミ(04 Limited Sazabys)は所謂エモいのではないかと思ったりします。
アジカンのソラニンなんかはエモいの代表曲ではないでしょうか。
では、どんな時に人は『エモい』と言うのでしょうか。
私の思っているエモいの使いどころは——
例えば、大企業に勤めるエリート・サラリーマンの男性。
帰宅途中の駅で電車待ちをしている時、後ろから声をかけられた。
「よう、田中か?」
田中とは、私の名字だ。条件反射的に振り向くと、笑顔で手を振る同年代の男性が立っていた。
「あぁ、道明寺か?」
「久しぶりだなー!」
私の名前を呼んだ男性は、高校の同級生であり、親友だった道明寺だった。
懐かしさで話も弾み、最寄りの駅近くの居酒屋にふたりで入った。
高校を卒業し、大学に入ってからは疎遠になってしまったふたりだったが、友として通じ合う気持ちはあの頃のままだった。
お互いの近況を話し合い、酒も進んで酔いも回ってきた頃、道明寺が言った。
「しかしなぁ、高校の頃、俺は絶対にプリキュアになる! って言ってたお前が、今は大企業の課長だもんなぁ」
「はは、子供の頃の話しさ」
そうだ、私は高校生の頃、プリキュアになるのが夢だった。
プリキュアになる為に猛勉強し、東大に入った。
大学で色々な事を経験するうちに考え方も変わり、今の会社に就職し、サラリーマンとなった。
妻と出会い、結婚し、子供も2人授かった。
家族を不自由させない程の収入はあるし、都内に一戸建ても買った。
私は、この人生に満足している。
間違っていないと思う。
しかし、ふと思う。
高校生の頃の私が今の自分を見た時に、何と言うだろうか?
家に帰ると、数年ぶりに高校の卒業アルバムを取り出し、リビングのソファーに腰掛けてアルバムを開いた。
そこには、まるで何一つ疑う事さえ知らないような笑顔で写真に写る18歳の私がいた。
私はひとり、呟いた。
「エモい」
このように、エリート・サラリーマンである中田が子供時代を思い返す時に感じる『現状に不満はない。間違っているとも思わない。だけど、上手く言えないけどなんとなく切ない』という、歳を重ねた男性が抱く哀愁を『エモい』のたった一言で表現しています。
たった一言で。
私はこれが気にくわない。
ここでは架空のサラリーマン田中さんを例に挙げましたが、
・遠い昔を懐かしむ哀愁
・失恋した相手などを思い出す時の感傷的な気持ち
・人生の儚さ
・日々の生活の間にふと感じる心の隙間
・廃墟を見て感じるノスタルジア
——などの、所謂エモいと表現される感情は、私が一生かけて表現したいと思っているテーマであります。
そんな、私にとってとてもとても大切なテーマを、『エモい』のたった一言で表現されちゃったらたまったもんではない!!😭
私のこの一生かけて成し遂げたいと思っていた気持ちを一体どうしてくれるんだ! と嘆きたくなります。
全528ページある村上春樹さんの作品『ノルウェイの森』の感想も、その気になればエモいの一言で終わってしまうのですよ?
恐ろしい事です。
私は断固エモい反対!!
エモい使いたくない!!!
今後『エモい』を使用した場合は『3年以下の懲役、又は528ページ分の反省文提出』なんていう法律欲しい。
ただ、そんな事を思ってるのは私のくらいなもので、一般の方からしたら『エモい』という表現はとても便利なもの。
表現するのが面倒くさいよく分からない感情を一言で率直に言い表わしてくれるのですから。
『ヤバい』も同じようなものですが、ヤバいよりエモいの方がヤバい気がします。
いずれにせよ、私は今後も一切『エモい』は使いません!
このエモい感情、小説やブログで何百ページと使いまくって表現してやる!😤
コメント
ソムリエがワインの味を評価する時に長々と説明するのもフランス語に日本語の様な味に対して表現する言葉が少なかったからとかなんとか…
長年人知れず保管されてたワインをソムリエがヤバいとかエモいの一言で終わらせたらまさにひたぶるに心悲(うらがな)しやね(´-`)エモイ
@M大佐さん
ワインの評価って、お洒落に表現するために詩的にしてると思ったら一概にそういう訳でもなかったんだ!?(゚д゚)(笑)
うん、エモいの一言で終わらせたら貴重なワインの価値もなんだかエモくなってマジでエモい🍷
そしてエモいがゲシュタルト崩壊😑