作品の紹介コーナーもありました。
センチュリーシネマにはカフェ・コーナーもあり、映画を観なくてもカフェを利用する事が出来ます。
落ち着いた雰囲気で珈琲を楽しみながら本を読むのも良いかも。
さて、そろそろ上映時間になったので劇場へ入ります。
センチュリーシネマは劇場が2つあるのですが、ドリーミング村上春樹が上映されるのはスクリーン2。
スクリーン2は、座席の数が50くらいの、私のミニシアターに対するイメージを具現化したような感じでした。
私はミニシアターで映画を観るのは初めてで、1人で映画館に行くのも数年前に公開されたアニメ映画『HUNTER×HUNTER』の時以来、人生で2回目。
その時は、映画の特典として『ハンターハンターの0巻』がもらえるので、それが目的で仕事終わった後に1人で映画観に行きました。
まだ慣れなくて少し落ち着かない気分もしますが、ソロ映画もなかなか良いものかもしれません。
スクリーン2の劇場内にいるのは私を含め6人。
皆さん、私と同じように1人で観に来ていました。
この映画を観に来るのは、映画好き、文学や翻訳に興味がある方、あるいはハルキスト。
私の周りには村上春樹さん好きな方が1人しかいないので(あるいは知らないだけかも)、あの前の席に座ってる方もハルキストの方なのかなぁ、あの後ろの人も、なんて思うとドキドキでした。
それでは、映画が始まるので失礼します。
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映画を観た感想〜何故村上春樹作品は海外でも人気なのか〜
村上春樹さんの作品が世界で人気なのがずっと不思議でした。
村上春樹作品独特の良さって、外国語に翻訳しても上手く伝わるものなのかなって。
村上作品を好きな私でも、作品の何が面白いのか、イマイチよく分かっていないくらいだから。
『ねじまき鳥クロニクル』なんて、マジで意味不明でした。
主人公、なんで井戸入っちゃってるの? って。
結局最後まで読んじゃったのですが……
とくべつ熱心な読書家という訳でもない私が、あの、とくにストーリーが面白い訳でもない長編を読めちゃうのは、やっぱり村上作品の凄さです。
そんな、村上作品を日本語のまま読んでいる私ですら具体的に表現できない絶妙な作品の素晴らしさが、外国語に翻訳しても伝わるものなのか。
その疑問が、この映画を観て晴れた気がします。
劇中では、メッテさんが村上春樹さんのデビュー作『風の歌を聴け』を翻訳する様子を追っています。
メッテさんは、ただ作業的に日本語からデンマーク語へ翻訳するのではなく、作品の本質を表現出来るように、作者である村上春樹さんの思考、感性(あるいは心)に限りなく近づこうとしていました。
村上春樹さんそのものになろうとしていました。
まるで、イタコが死者の魂を身体に降ろすみたいに(村上春樹さんは生きています)。
メッテさんと村上春樹さんは、とても強い信頼関係で結ばれているようでした。
デンマークで発売される『風の歌を聴け』の表紙の打ち合わせで、メッテさんが「このデザインだとムラカミは嫌がる」というように提案する場面があります。
もし私がそんな事を言ったら「何言ってんだコイツ」と思われちゃいますが、メッテさんが言うと説得力がある。
その説得力は、メッテさんが村上春樹さんの事を深く知ろうと努力した結果であり、村上春樹さんとの信頼関係によって現れたものだと思います。
そんなメッテさんが翻訳するからこそ、デンマーク語に翻訳しても村上春樹さんの素晴らしさが伝わるし、また読者の方もメッテさんの翻訳で村上春樹作品を読みたいと感じるのだと思う。
海外の方に村上作品の独特の世界観『ムラカミ・ワールド』の素晴らしさが伝わる理由は、翻訳家さんはじめ海外の出版社の方、関係者の方たちの村上作品を知って欲しい、伝えたいという熱意によるものだと確信出来た映画でした。
そして、それだけ人々を魅了し動かしてしまう力が村上作品(そして村上春樹さん自身)にある、ということだと思います。
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村上春樹作品の面白さって、何?
村上春樹作品の一体何がウケているのか?
村上作品ってどこが面白いのだろう?
ある意味、村上春樹ファンにとっては永遠のテーマかもしれません。
だって、上手く説明出来ないから。
ただ、村上作品に対する、日本人が感じる面白さと、海外の方が感じる面白さって少し違う気がします。
『ムラカミ・ワールド』の概念や、日本独特の文化の描写などが海外の方から見ると新鮮なものに感じる部分があり、そこも村上作品が海外で人気のある理由の1つのようです。
もちろん、共通する部分もあります。
日本と海外の読者で共通して感じるのは、作品に引き込まれる力。
その『引き込まれる力』とは、具体的には一体何なのか。
村上作品の素晴らしさというと——
・独特な世界観(ムラカミ・ワールド)
・文章、文体、比喩
・喪失感、孤独感
・魅力的な登場人物
・お洒落なライフスタイル……
——などなど、様々な要素があります。
しかし、様々な素晴らしい要素はありつつ、その人々を惹きつける核となる部分がなんなのか、謎です。
その謎である核となる部分が、村上春樹さんを唯一無二の至高の存在たらしめている何かなのではないでしょうか。
結論として、結局のところ『何が面白いのか=分からない』となってしまいます。
村上春樹さんは『風の歌を聴け』を執筆する際、最初英文で書いて、それを翻訳する形で日本語にしたらしっくりきた、と書かれているのを読んだ事があります。
村上作品が海外で受け入れられるのも、学生時代から海外文学(英文)に慣れ親しんだ村上春樹さんの知識や技術、感性が影響しているのも間違いなさそうです。
村上作品がまだ日本国内でしか知られていなかった頃、村上春樹さんは自ら海外に赴き、自身の作品を売り込んだそうです。
その努力も大きいですよね。
やはり偉業を成し遂げる天才は、持って生まれた才能+絶大な行動力(あるいは努力)があるのだと思います。
いくら世界を変えるような才能を持っていたとしても、行動しなければ何も変えられません。
更にそれプラス、今回のメッテさんのような翻訳家の方たちの努力もあり、村上春樹さんの作品が世界中で読まれるようになったのではないでしょうか。
小説家って、1人で完結してしまいそうな職業ですが、周りの支え合いがあって成り立つものなのだと感じました。
孤独に見える創作活動も、人と人との繋がりなんですね。
村上春樹さんの創作に関する考え方などは『職業としての小説家』に詳しく書かれているので、オススメですよ。
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好き嫌いが分かれる村上春樹作品
劇中でも言われていましたが、村上春樹作品は好き嫌いがとても分かれる。
日本でも、ハルキストの方々みたいにめっちゃ好き! っていう方と、受け入れられない! という方に二分されていますよね。
海外でも、それは同じようです。
ここまでメジャーな作家さんがこんなにハッキリと好き嫌いが分かれるのも、また興味深い事実ですね。
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竜宮世奈のひとこと
映画の感想とセンチュリーシネマの紹介をするシンプルな記事にするつもりが、長々と色々書いてしまいました。
途中で自分でも何書いてるかよく分からなくなったので、余計なトコはカットしようと思ったのですが(無駄に長々と書くのはSEO的にも良くない)、記事を完結させて掲載することによって自身の文章の勉強にもなるかなと思い、そのまま投稿してしまいました。
やっぱり、好きな事だと書きたい事も溢れてきてついつい書いちゃいます。
うんざりするくらい長くても、楽しんで読まれるような文章を書けるようになりたいな。
村上春樹さんみたいに。
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